12月24日
一週間前

過去

シアワセだった少女に襲いかかった悲劇。

「まさかユキからとは、珍しいこともあるのねぇ。」
酒の入ったグラスを揺らす。
「愛なら知ってると思って。知ってるでしょう?麗と翔太の過去。」
愛は
「勿論。」
と鼻で笑った。
「そう言えばユキって、養子って知ってる?」
グラスに入った酒は店の薄暗い照明の光で輝く。
「一応聞いたことはあるけど、詳しくは知らない。」
そう言うと、“ふ-ん、、、、”と少し頷いた。
「じゃあ、相当良い人生を送ってきたのね。」
愛は酒を一気飲み干した。
「だって麗は信頼してた親から見捨てられたんだからね。」
感情のこもってなさに一瞬全身に鳥肌が立った。


少女の物語


爽やかな朝。
これはいつもの日課。
「お母様、おはようございます。」
財閥の女の子はかわいらしく笑う。
「麗、、、、。」
病弱な母を持つ姉妹の妹。
「姉様がまだなの。どうかしたのかな?」
麗は周りをきょろきょろと見回す。
そんな愛娘を見てクスッと笑ってしまう。
「いいのよ、最近調子が悪いらしいから。」


< 78 / 111 >

この作品をシェア

pagetop