12月24日
そう言うと、
「本当?良かった!」
と、胸をなで下ろす。
麗は屋敷でも好かれていた。
ツヤツヤの黒髪や、栗色の瞳。
肌は真っ白で汚れがないように見える。
小さい麗にあこがれている大人もいた。
「スミマセン、お母様。」
それとは反対に愛想のない声がドアの開く音と共に聞こえた。
麗は笑顔で言う。
「あ!おはよう姉様!」
麗は愛がとてもスキだった。
でも、愛は麗を嫌っていた。
理由は父様とも、母様とも仲良くするから。
そして、母様が病気になったのは、麗のせいだから。
麗を生むときに子宮に見つけた癌。
その前からあったらしいが愛に説明するには幼すぎ、麗のせいにしておこう。
でも、あんなに良い子なんだから、絶対好かれる。
と、皆思ったがそんなことは無かった。
自分より後に生まれてきたクセに、父様には好かれ、みんなに大事にされ、
唯一の支えさえ奪われた人と、誰が仲良くしようとするだろうか。
それに気付いたのは、麗が5歳、愛は7歳の時だった。

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