魔界の恋模様
やけくそって素晴らしい!

人はやけくそになれば何でもできるんだよ、そうだよ!

「フィー」

「はい。お嬢様、お手をどうぞ」

フィーさんが手を差し出した。
が、その手を掴むには降りなくちゃいけなくて。

「やだっ、やだやだっ!」

「ふむ。しょうがあるまい」

とさっと大魔王さんが、私をソファに降ろした。

咄嗟に足を引っ込めソファの上に正座してしまう私。

「そんなに警戒するな、苺よ」

「な、なんで私の名前をっ!」

「…秘密だ」

初めて呼ばれた名前。

───────トクン、

…え?
な、ななななんだろ!?

ちょ、なに!?
は、意味分かんないし!

「どうした、苺」

「い、いいいや!?トクン、とか鳴ってないからね!あ、あははは!お茶、おいしいね!」

…ごまかせた、かな?
うん、ごまかせた!

…あれ?
私、なんでごまかしてるんだろ?

…なに?
なんなんだろ、一体…。

「あの…苺様。お茶、一口も口にしていませんが?」

「え?えぇっ?飲んでるよ、ほらっ!」

ぐびっと焦って一気のみしてしまった私。

「あっつ!」

まだ入れたてのお茶は物凄く熱くて。
思わず、吹き出しそうになってしまった私。




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