百涙千笑-ヒャクルイセンショウ-

囁いたコトバ

心に響いてきたのは
あの日君が囁いたコトバ。

ジワジワと心に広がって
スーッと染み渡るの。

水に溶かした塩みたいな
透明な言葉。
でも飲み込みがたい
貴方の恥ずかしい言葉。

私の頬が赤く染まるのを
知っていながら
わざと囁くのよね。

意地悪。なんて罵りながら
内心嬉しくて。
でも 嬉しい、なんて言ったら
また貴方は私を苛めるわ。

拒否しても
貴方は私を抱き締めて
そっと囁くのよね。
“愛してる”“好きだ”
そんな言葉は聞き飽きたわ。

そろそろ慣れてもいいはずなのよ。
でも、いつまで経ってもドキドキしてしまう。
自分でもわかるくらい頬が赤くなる。

“どうした?”なんて
わざとらしく囁いて。
私が拗ねれば貴方はまた抱き締める。

拒否しても無駄なんでしょ?
拗ねても駄目なんでしょ?

あぁ、主導権は貴方がもってるのね。
あぁ、貴方の思うが侭。
狡いと思うのは
私だけですか?


†+――――――――+†

ゾクゾクする。
ドキドキする。
魔法みたいな貴方の囁き。

†+――――――――+†

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