百涙千笑-ヒャクルイセンショウ-

夜桜に降る雪

夜桜に降る雪の如く
貴女の頬を白くそめるのは
仮初の嘘か 偽りの愛か。

見ているだけの己の無力さは
雪を汚す真紅の血。

偽りの愛に気付いた貴女が流すのは
雪を溶かす青の涙。

その涙を拭えるのは
俺だけだといい。
その苦しみを消せるのは
俺だけだといい。

貴女を苦しめる奴など
消えてしまえばいいんだ。
貴女は苦しむ必要などないのだ。

貴女の心が漆黒の闇に覆われたら
俺が鉛白の世界へ導いてやろう。

そして
夜桜に降る雪の如く
桜色に上気した頬を
俺が赤くそめるのだ。

†+――――――――+†

貴女は俺のもの。
あいつのところじゃなくて
こっちに来てよ。

†+――――――――+†
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