溺愛コンプレックス
act.4 記憶の片鱗
…そこは、真っ暗な世界だった。
自分の身体さえ見えない。
外からかすかに、子どもたちの笑い声が聞こえる。
ああ、私も一緒に遊びたいな…。
「…ママ?」
私の発した声は、自分の声とは思えないほど幼かった。
「おなかすいたよ…」
もう声も出せないほど、身体がだるかった。
暗い闇の中で、私はうずくまっている。
自分の手首を掴んだら、驚くほど骨張っていた。