溺愛コンプレックス









―――突然、ズシリと身体が重くなったような感覚になり、私は目を覚ました。

「また…あの夢だ…」

のどがカラカラに渇いていた。

カナメが、おばあちゃんの看病のために家を出てから、一週間が経った。

やっと会える学校でも、相変わらず、カナメは私を避けている。

カナメが家を出たのと同じころから、私は毎晩同じ夢ばかり見ている。

真っ暗な世界で、1人で小さくなっている夢。
音や、皮膚の感触、においまで…やけにリアルな夢だ。

カナメがいなくって寂しいのが夢になったんだ…きっと。


私は少しずつ自分のことをやるようになっていた。

制服のネクタイを結ぶ、忘れ物がないかチェックする、脱いだ服を自分で片付ける…。

小学生でもできることを、私はいつもカナメにやってもらっていた。


その日の朝、お母さんがぼそっとつぶやいた。

「カナメ、お昼ご飯どうしてるのかしら」

いつもは私たちはお母さんのお弁当を持って行く。

そういえば、今何食べてるんだろう…。

「…そうだ!ねえ、お母さん!」


私はあることを思いつき、お母さんに飛びついた。


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