溺愛コンプレックス
「でも最近、手ごわいヤツが出てきた」
「手ごわいヤツ?」
「レン先輩だよ。ツバキ、ちょっといいなって思ってるだろ」
どきっ。
私はちょっと顔を赤らめた。
「だめだよ、好きになったら。あんなやつより、全然俺のほうがカッコイイだろ?」
カナメは私の指にキスをした。
「カナメ…何か、性格変わってない?」
「弟っていう仮面を脱ぎ捨てたからね」
でも私はうれしかった。
またカナメと一緒にいられる。
カナメが弟じゃなくても…。
この気持ちって…なんて表現すればいいんだろう?
「愛してるよツバキ…。返事は急がない。時間をかけて俺を好きになればいい…」
そう言うと、私の頬に、自分の頬をくっつけた。
あったかい。
くすぐったくて心地よい感情が込み上げる。
でもちょっと、心臓はドキドキしてるみたい…。