自分探しの旅
「なぜおまえは和尚様のお気持ちがわからぬのか。」

「私は・・私は・・・」

「円心。和尚様は死ぬ間際までお前のことを気になさっておいでだった。その和尚様のご遺志を継ぐことが、一番の供養なのだよ。」

 円修は、さとすように言った。円心は線香の煙の向こうの位牌を見上げた。

『円心よ、もっと大きくなれ。』

 円心は、今は亡き天寿和尚がそこにいるような気がした。

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