自分探しの旅

第３章「同時世編」

第14話 「同時世」

「京介・・・京介・・・」

『ん？』

「京介・・・起きろ！・・・起きるんだ。」

「！」

　京介は、龍仁の声によって過去世から現在へ引き戻された。目をパッと開けて宙を見ていたかと思うと、寝ぼけた子供のようにガバッと半身を起こして辺りをきょろきょろ見回した。

「おい、京介。」

　龍仁は、まだ正気に返っていない京介の頬を軽く何度か叩いた。

「ここは・・・」

「そうだ。ここは現在だよ。」

　京介は長い長い夢から覚めた。まだ体中にその夢の余韻が残っている。龍仁は立ち上がり部屋の明かりをつけた。壁に掛かっている時計を見ると九時を指している。催眠を始めてから二時間しか経っていないが、京介にはその二時間の中での出来事が一生のことのように長く感じられた。