自分探しの旅
「和尚様から授かった薬草の知識が思わず役に立ちました。」

円心は鍋の木ぶたをとると、椀におもゆをついで山伏のかたわらに置いた。

「かたじけのうござる。」

 か細い声で山伏は言った。円心は、山伏を抱き起こすと、まだ湯気の立っているおもゆを口に含ませた。
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