アナタハシニマシタ
「沙良ちゃん、そっちは終わった?」



修が沙良の方を見ると、彼女は必至になって携帯の画面を見ていた。かなり力を入れて呼んでいるのが分かる。この分だとまだかかりそうだ。



修は今までのことを振り返ってみる。



六日前から岸野明日香という女子生徒が行方不明になっている。しかし、これは誘拐ではなく家出。それも家出先は彼女の両親が持っている別荘。彼女の両親は多少裕福な家庭であるから場所は決まって遠い。そこまで行く交通費も自分で出せる範囲であろう。もっとも普通の高校生では出せる範囲ではなさそうな気がするが。




校長もクラスメイトも言っていたが、大人しくて友達がいない。休み時間に勉強や本ばかり読んでいれば少なくとも友達になろうという物好きはあまりいないだろう。何かの用で話しかけても最低限の会話しかしなければ、時間が経って孤立するのは目に見える。



この件に関しては友達関係ではなく親子関係であることが分かった。そして家出先がつかめたことは大きな収穫となった。しかし問題は、彼女の別荘はどこにあるのか。日記には今のところ書かれていない。おそらく沙良のところにも書かれてはいないだろう。そこは本職の刑事である木村に頼むのがベターではあろう。



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