アナタハシニマシタ
「勇さん。終わりましたよ」


さらに呼ばれたのに少し遅れて反応する。まだこの勇という名前になれていないからだろう。さらに心配されたが、大丈夫だよ。と笑って答える。



「日記は昨日の分までしっかり書かれていました。逆に一日も忘れず、そしてほぼ同じ時間に書いていますね。もう日記を書くことが生活の一部なんでしょうね」



生活の一部。そしてふとこんな疑問が生まれた。



「…沙良ちゃんは家事できる方?」



「え、いきなり何を聞くんですか?――両親が働いているときは夕食はたまに作りますけど、食べさせられる物を作る腕はないですよ!」




「じゃあ、他のみんなと比べたら出来る方だよね?」



彼女は体をくねらせながら自信なさげに小さく頷いた。



「それが、今までのとどういう関係があるんですか?」



「もしかしたら、明日香さんは何も作れなかったりしてね。ああいうタイプの人は逆に何にも出来ないと思うよ。カップラーメンやインスタント食品とかも食べたことなさそう」



完全に漫画からの知識ではあるが、カップラーメン云々は本当らしい。実家で食べてない人は本当に食べたことがないらしく、美味しそうに食べていたのを不思議そうに見ていた頃がある。もう戻れない頃の話だ。




「…だとしたらものすごくピンチじゃないですか!――でも日記にはそういうこと書かれてないから大丈夫なんじゃないですか?」



それもそうだ。今ではすっかりケータリングサービスが充実している。電話とお金と自分の家さえあれば、配達してくれる便利なサービスだ。



食事の心配は大丈夫そうなので、こちらは焦ることもなく捜査が出来る。しかし、沙良の方からはこれといった情報は書かれていなかったらしい。



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