アナタハシニマシタ
「どうしたんですか?」



「…いや、なんでもない。少し考え事だ。こっちの仕事についてのな」



優次がそういうので修は追及はしなかった。聞いたところでアドバイスはおろか、相談役にもならない。人生としての経験値。探偵としての経験値。すべてが優次に劣っている自分に何が出来ようか。



「木村には自分が届けるか?それともついでで俺が出しに行くけど?」



「じゃあ、お願いできますか?俺が行くと大丈夫なものも駄目な気がして」



「大丈夫だよ。あいつは真面目な人間だから一緒だった奴の顔は覚えてるから。俺が行った方がすんなり木村に会えるけどな」



修が優次に報告書の入った茶封筒を渡す。一応中身が入っているかを確認してしまう。



「確かに承った。明日の昼ごろにあいつに渡す予定だから、結果は明日、明後日くらいになると思う」



「分かりました。じゃあ、俺、風呂に入ってきますね」







修が決して大きくない湯船に体を沈めて大きく息を吐いた。優次は熱い風呂が好きなので一番はいつも暑い。そのため我慢して肩まで浸からなくてはいけない。しかし、肩まで浸かった時の疲れの抜け方が修はとても好きだった。湯気と一緒に抜けていく感覚がするのだ。



白の天井を見上げながら修は家出の要点を挙げて自分なりに推理していく。




発端は二か月前。進路について両親と明日香が真っ向から対立。かなりの大喧嘩をしたらしい。有名大の医学部に入り、医者を目指して欲しい両親。介護師になりたい明日香は福祉大で提出した。そこも偏差値的には医学部より劣るが、県内の福祉大のそれよりは高い。



< 45 / 46 >

この作品をシェア

pagetop