オトコノコの気持ち!


まだ小さい胸。

今考えたら、あたしはユカに嫉妬したのかもしれない。
胸も大きくてスタイルもよくて、女の子らしいユカに、勉強すら負けた。


あたしがユカに勝てるところは
家庭的な事と足の速さ
それだけだった。


あたしは自分の棒みたいに細い身体が嫌い。胸だってほんとはもっと欲しいし、ふっくらした身体に憧れる。身長だってまだ伸びて欲しい。


時々思う。


もし、この腰まである長い髪をバッサリ切って、メイクもやめたら、って。

そしたら男の子になっちゃう、って。


あたしはもっと
女の子らしくなりたいのに。




鏡に移る強気な眉を睨んだ。
自分でかいたカタチのいい眉。

だけどそれは最近、ただの根性無しの象徴にしかみえない。

根性焼きなら、高校に入って三回した。左の手のこう、手首に近い親指の付け根に、並んでみっつ後が在る。


だけどその眉は、
女の子らしくなることにびびって前に進めない、
そんなふうに言ってるように見えてなんない。


ムカつくより、ウザイ。

苛つくより、けだるい。


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