オトコノコの気持ち!
「……学校いく」
タンタンタン
怒った態度は今更やめられなくて、音を立てて階段を上った。
今気持ちにあるのは怒りなんかじゃなく、鈍い苦味だけなのに。
部屋から鞄をとったら駆け降りて、なるべく早く玄関に走る。
幸い今日は寝癖がなかったから、髪はとかすだけと妥協した。
バタン!
無言で閉めたドア。
あたしは今、きっとすごく冷たい娘で、きっとすごく酷い人間だ。
お母さんは看護師。
仕事好きで大概な仕事人間で忙しく働いてるんだけど、それプラス夜勤とかもたくさんあってあたしが小さい頃から家を空けてる事の方が多かった。
お父さんは出張で海外に行く事が多くて、今も一年前から海外に単身赴任中。
そんなおかげでうちはまぁまぁお金には困らないけど、
お父さんがあと半年で帰ってくるそれまでの間、あたしが家を早く出たら、短いながら朝の数時間お母さんは、あの広い家に一人ぼっちだ。
淋しいだろう。
あたしだって小さい時、夜はたくさん寂しい思いをした。
今はあの頃より大人になったから平気だけど、お母さんはアタシなんかよりずっと可愛いから。
きっと淋しい思いをしてる。
泣きそうな顔をつねった。悪いのは自分。
今引っ込んだ涙は偽善だろう。