お菓子の犬小屋
「寝てくんじゃないのー?」
デスクにイスを閉まっていて、彼がでていったことに今気づいたみよちゃんは、その背中に呼び掛けたけど、彼は振り向かずに階段を上がっていった。
よく見ると、さっきはソファーで上半身しか見えなかったけどうちの学校の制服をはいてた。
やたらと色っぽくて、大人びて見える。それによくみたら普通のワイシャツだった。
彼が着るとホストみたい。
「…あの人誰?」
「なに、惚れた?」
「違うよー!あの人初めてみたから……」
むふふと笑って
『綺麗な顔してるよね』
って続けてから、むぅ、と膨れるあたしに、みよちゃんはソファーに座るようにすすめた。
「…あたし専用なんだもん」
みよちゃんに聞こえないように呟いて、いつもなら大きいソファーのど真ん中に座るとこだけど、あたしはちょこんとはじに腰掛ける。
「どしたの?赤井さんのクラス今、羽柴先生の授業でしょ?」