お菓子の犬小屋
ガラガラガラ
「失礼しまぁす」
俯きがちに保健室に入ると、見慣れないお兄さんがあたし専用(あたしが勝手に決めたんだけど)のソファーにどかっと座っていた。
「あら!ごめんね、先約」
あたしにいつもの柔らかい笑顔でそう笑ったみよちゃんは、デスクのイスをコロコロと転がしながら楽しそうに笑った。
今まで背中を向けてたお兄さんが軽くこっちを向く。
(先約?)
彼は、きょとんと立ち尽くすあたしに、全く興味ないって顔をして顔色ひとつ変えずに立ち上がった。
(やな感じ)
冷たそうなオーラぷんぷんのお兄さんは、けだるそうにあたしのいるドアにきた。
「あっ」
邪魔かなと思ってあたしが焦って保健室の外にずれると、お兄さんは何も見えてないって顔して出ていった。
(変な人…)