凶宴の月
力がある故の傲慢なのだろうが、ミナギにはそれが幸いした。
ヴァンダインが戦っている間に、彼の一部を封じるための呪が編めたのだ。
「…正義の味方として、卑怯すぎない?」
「そんなものになった覚えはないな。オレはただのハンターだ」
少年はあっさりしたものだ。
痺れを切らしたのは、最上級悪魔でも、世界で有数のるハンターでもない。
今まさに、ヴァンダインにとどめを刺されようとしていた下級悪魔だった。
「おまえら、おれを無視するなーーーーーーっっっっ」
がぁっと悪魔は吠えた。
だが。
「「うるさい」」
冷たい二重奏の許、切ない訴えは切って捨てられた。
「…ったく、ヴァンのせいで封印し損ねたじゃないか」
「オレのせいなわけ、この場合…?」
「おまえが邪魔しなければ、とっくに封印できてたの」
「ああ、はい、さいですか…」
生まれてこの方、崇めたてられたことや、恐れ慄かれたことはあっても、無能扱いされたことは初めてである。
悪魔界にこの男有り…とまで言われた牙王ヴァンダインは、寂しく項垂れたのれたのだった。
-終-
ヴァンダインが戦っている間に、彼の一部を封じるための呪が編めたのだ。
「…正義の味方として、卑怯すぎない?」
「そんなものになった覚えはないな。オレはただのハンターだ」
少年はあっさりしたものだ。
痺れを切らしたのは、最上級悪魔でも、世界で有数のるハンターでもない。
今まさに、ヴァンダインにとどめを刺されようとしていた下級悪魔だった。
「おまえら、おれを無視するなーーーーーーっっっっ」
がぁっと悪魔は吠えた。
だが。
「「うるさい」」
冷たい二重奏の許、切ない訴えは切って捨てられた。
「…ったく、ヴァンのせいで封印し損ねたじゃないか」
「オレのせいなわけ、この場合…?」
「おまえが邪魔しなければ、とっくに封印できてたの」
「ああ、はい、さいですか…」
生まれてこの方、崇めたてられたことや、恐れ慄かれたことはあっても、無能扱いされたことは初めてである。
悪魔界にこの男有り…とまで言われた牙王ヴァンダインは、寂しく項垂れたのれたのだった。
-終-


