君の瞳に映る色
…最低。
心の中で棗は呟いた。

無性に腹が立った。
この男が女性といる現場なんて
何度も見ているのに。

無意識にUターンしそうになる
棗の腕を玲が掴んだ。

「待て待て、よく見ろ」

「見ろって何を?!」

声を荒げる棗に玲は、
いいから、と苦笑いを返す。

わけがわからない。

顔をしかめて棗は目のやり場に
困る女性に再び視線を移す。

女性は棗を見ながら首を傾げた。


ウェーブのかかった髪に
はっきりとした目鼻立ち。
切れ長の瞳は赤みがかった茶色で
勝ち気そうな性格の漂う
上がった眉毛。

女性らしい滑らかな身体と…。

棗はハッとして息を呑んだ。


「この人もヴァンパイアなのね」


見覚えのある闇の色。
はっきりと目の前の女性から
見えてくる。

今度は女性の方が目を丸くした。

「…この子、何者~?」

訝しむ女性の横を玲はすり抜けて
部屋へと入る。

「絢、勝手に部屋に入るなよ。
何回言えばわかるんだ…。
ったく散らかすなよな」

絢と呼ばれた女性は口を尖らす。





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