君の瞳に映る色

何度も何度も同じ部分を
繰り返し読んでいるとようやく
頭の中が本の内容に
集中し始める。

やっとの思いで次のページに
進むと雑念を振り払うように
読み進めた。



喉の渇きを覚えて顔を上げると、
目の前のベッドでこちらに背を
向けて上半身裸のまま布団も
かけずに玲が寝そべっていた。

静かに立って台所に向かう。
冷蔵庫からミネラルウォーターを
出して飲んだ。

物音に気付かないのか玲は背を
向けたまま身動ぎもしない。

棗はコップを持ったまま
そっと玲に歩み寄った。

玲からは規則正しい呼吸の音が
聞こえて、寝ている事に
気付いた。
時計を見て、かなりの時間が
経っていたことがわかる。

コップをテーブルに置いてから
棗は布団を引っ張って
玲の身体に掛けた。

ひんやりとした布団の感触に
玲はぶるっと身体を震わす。
身体を丸めるようにして
寝返りをうった。

ベッドの真ん中で
寝てしまっている玲に棗は
軽く溜め息を吐く。

ただ起こすのはなんとなく
躊躇われて、布団から覗く玲の
顔をじっと見つめた。




< 223 / 352 >

この作品をシェア

pagetop