君の瞳に映る色

一色の構える銃が
棗に向けられた時、
玲は一色に飛び掛っていた。

「玲っ」

ドン、ドン、と続けて乾いた音が
部屋に響いた。



一瞬の静寂。



ドサリと玲の身体が
床に落ちた。

一色の腕が身体の横に力なく戻る。

その肩からは血が滲んでいた。



何が起こったのかわからずに、
棗はぼんやりと床に倒れる
玲を見ていた。

駆け寄りたいのに、
ガクガクと震えるだけで
身体は動いてくれない。

急速に意識が遠のく。

「…れ……い…」

微かな呟きを残して
棗はその場に倒れた。







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