王子様のお妃候補?





(カシェルク領だと、父様や兄様たちは当たり前だけど、シャナやラジールや皆と食べてたのになぁ…。)



そこまで考えると、アリュエインは急にカシェルクの皆が恋しくなってきました。




父様…また執務さぼって畑仕事ばっかしてないかな。



ミシェラン兄様は執務ばっかに追われて、また眉間のシワが増えてたりして…



あ、でも愛する奥さんや子供といるとあの頑固なシワが消えるんだっけ〜…プププ




ルアーノ兄様、今はどこにいるんだろ?
僕が王子様の妃候補だ、なーんて知ったらきっと笑い転げるぞ





フォルトマ兄様…兄様は元気かなぁ…?
フォルトマ兄様とは毎日おしゃべりしてたし、食事はいつも一緒にとってたから…なんか一番寂しいかも…







「はぁ〜…」



「どうしました?アリー様」



「…っ!!? シャ、シャナ!?」



慌てて飛びのくアリュエインを食事のトレイを手にしたシャナとメイは不思議そうな顔で見ていました。



「び、びっくりした…」



「そんなに驚かれるなんて思いませんでした。何か考え事でも?」



「う、うん?まー、ちょっとね…」




まさか、ホームシックにかかっていたとも言えずに、アリュエインは笑ってごまかすことにしました




(来てたった一日目なのに、寂しがってるだなんて知れたら、それこそお笑いだよ…)




不自然なほど笑うアリュエインを訝しげに見つめてから、シャナは肩をすくめると、メイと一緒に朝食の準備をし始めました



「アリー様の考え事ですもの。だいたい予想ができますよ」



「!!?」



「そうなんですか?すごいですね、シャナさん!」



アリュエインは、まさかバレてる…?と顔を硬直させ、メイは尊敬の眼差しでシャナを見つめていました






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