王子様のお妃候補?
「シャナも食べてみてよ!!すごく美味しいよ、このパン!」
アリュエインが一口サイズにちぎったパンを、シャナは口に入れた途端、頬を抑えて言いました
「本当に美味しい!!何もつけなくてもすごく香ばしいです」
「でしょ!? 僕、このパンなら何個でも食べれそうだよ」
二人が大絶賛する横で、メイは顔を真っ赤に染めてモジモジと手をいじっていました
「気に入っていただけて、嬉しいです…」
アリュエインは籠に入ったパンをしげしげと眺めてから、メイを見て言いました
「でも、侍女のメイがパンを焼くなんてビックリだよ。他にも何か作ってるの?」
「いえ、パンとジャムくらいです。私、実は…パン屋の娘なので…パンは小さい頃から作っていて…、お城の料理長さんに自分からお願いして作っているんです」
「え、メイの実家ってパン屋だったんだ?」
王子の妃候補であるアリュエインたちの他にもアルファティア王国には、少数だけれでも、それなりに地位や財がある貴族はいます
そういった、小さい貴族たちは、たいてい新たな事業を立ち上げたりなど、アリュエインたち公爵や伯爵の目が行き届けない村や町を治めたりなどしていました
そして、お城勤めの娘たちは、だいたいがそのような小貴族からの出身でした
だから、メイのような民間出からは、あまりいないというのをメイから聞いてアリュエインはさらに驚きました
「じゃあ、メイはすごいんだね」
「そんなことありません。ただ私の叔母がお城のかたと面識があって…それで、紹介してくれたんです」