【Transformation of Tony】トランスフォーメーション・オブ・トニー


チーフが言葉を濁したが
アシスタントに向き直り、

『…固定のお客さんだって
居るし、アンタが心配する事
無いわよ。
ちゃんとお給料だって
保証するから!

大丈夫よ。教えてくれて
有難う…。あっ、それから
5時以降の予約は入ってる?』

『いえ、今のところは
無いですけど…』

『・・・今日は5時以降
一切入れないで…。』

『はぁ、良いんですか?』

アシスタントが心配そうに
聞き返した。

『お願いね!』

『わ、わかりました…。』

《そう言えば、ランチに
行く前に、5時に予約をした
お客さんが居るって
言ってたっけ…。
知り合いっぽかったけど…》

チーフのいつもと違う
ただならぬ様子に麗子も
不安を隠せなかった。

『麗子ちゃん、アンタ今日は
これからどうするの?』

チーフがいつもの調子に
戻り、麗子に訊ねた。

『あ、アタシ…?
えっと…アタシは…。』

麗子は何も考えていなかった。

どうしよう…。

『チーフ、ごめんなさい。
もし許されるなら、もう少し
お店に居させて欲しいんだけど
ダメかな?
今日は独りで部屋に居たくない
気分なの…。
邪魔にならないようにするから
お願いっ!
お店に居させて下さい!』

拝みながら言う…

『そう言う時もあるわよね!
いいわよ。退屈かもしれない
けど、その辺で雑誌でも
読んでなさいよ。』

『チーフ、アリガト♪
ヤッター♪』


< 56 / 83 >

この作品をシェア

pagetop