[短編]「I can't」
その場に立ち尽くしたまま、樹音はいろんな思いを巡らせていた。



あの人は絶対、彰人に間違いない。


間違うわけがない。


この二年、樹音は彰人を忘れたことはなかった。


二年前、ずっと片思いだった彰人に告白して、やっと付き合えたのも束の間。


彰人が県外の進学校へ入学してしまい、二人は自然消滅だった。


あきらめることができなかった樹音は、ひそかに彰人を想い続けていた。

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