スピカ

ついた場所は駅前の噴水の前。

きらきら輝くショッピングモール


「ここがなに?」


「目閉じて、ここに座ってくれるか?」


「あ、はい・・・。」


しばらくすると私の手を握っていた手が離れた。


なんだろ?なにするんだろう・・?


「君の名前は?」


「並河優羽(なみかわゆう)ですけど?」


「じゃぁ、今夜は優羽ちゃんにこの歌を捧げます。」


歌?やっぱり意味わからん。

耳元で彼の声がして目を開けると、さっきまできらきら輝いていたショッピングモールが光をうしなって真っ暗になっていた。


「『スピカ』」


いつの間にか彼のとなりには三人の男の人がいて、楽器を持っていた。

アコギ、ベース、ドラム。

それぞれの楽器の音が合わさって一つの音になっていた。

心地良いメロディー。

高校にある変な軽音部の音とは桁違いだった。

そこに声が入っていった。

歌。

いまにもかれてしまいそうな声が悲しそうに歌っている。

今にも散ってしまいそうな歌が暖かく思えた。

その歌を歌っている彼もまた悲しげだった。
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