スピカ
さよならと罪
手がとまった。
時間がとまった。
部屋にあったはずの優太の家財道具がすっかり無くなっていた。
机の上におかれた封筒は二つ。
私はそれを開けようとしなかった。
あけたらすべてが終わる。
そう思ったから。
電話がなる。
優太の事務所からだった。
優太は事務所にもいない。
じゃぁ。どこへ?
ふわりと涙が床に落ちた。
「優羽ちゃんっっ!!!!!!!!」
亮介君が走って家の中に入ってきて私の肩を抱きしめた。
携帯のバイブレーションは鳴り止まない。
ディスプレイには「おかあさん」と表示されていた。