スピカ

再会と声


「CM入りまぁ~す。」


「ボーカルさんさっきなんて言ったんですかぁ?」

CM中にMCの人に聞かれた。

「『待っとけ。優羽』って言ったんですよ。」





「嘘っ・・・。」

確かに私には兄がいる。
彼が兄なの?

私は急いで家に帰って母の前に立った。

「お母さん!」

「優羽どうしたの?学校は?」

「私のお兄ちゃんのこと教えて!!!!」

聞いたとたん母の顔が青ざめていくのがわかった。
聞いてはいけない事?



「もう、学校にさっさと行きなさい。」



話しながされた・・・?

普通なんにもなかったら話してくれるよね?
別に兄の事話すだけで良いのに・・・
どうして?どうして教えてくれないの?


どうして?



ピンポーンとベルが鳴った。
母が急いで玄関に駆け寄る。

「はい?」

「あの、今日となりに引っ越してきた・・・。」


扉をゆっくり開ける母の手が一瞬で止まった。
それと同時に家の空気が凍り付くのがわかった。
そして、母が一気に扉を開けてその場に泣き崩れてこう言った。


「どうして帰ってきたのよ・・・優太。」

扉の向こうに立っていたの昨日会った男の人だった。
謎に包まれたバンド『spica』のボーカルである彼が・・・。
< 4 / 51 >

この作品をシェア

pagetop