スピカ
再会と声
「CM入りまぁ~す。」
「ボーカルさんさっきなんて言ったんですかぁ?」
CM中にMCの人に聞かれた。
「『待っとけ。優羽』って言ったんですよ。」
「嘘っ・・・。」
確かに私には兄がいる。
彼が兄なの?
私は急いで家に帰って母の前に立った。
「お母さん!」
「優羽どうしたの?学校は?」
「私のお兄ちゃんのこと教えて!!!!」
聞いたとたん母の顔が青ざめていくのがわかった。
聞いてはいけない事?
「もう、学校にさっさと行きなさい。」
話しながされた・・・?
普通なんにもなかったら話してくれるよね?
別に兄の事話すだけで良いのに・・・
どうして?どうして教えてくれないの?
どうして?
ピンポーンとベルが鳴った。
母が急いで玄関に駆け寄る。
「はい?」
「あの、今日となりに引っ越してきた・・・。」
扉をゆっくり開ける母の手が一瞬で止まった。
それと同時に家の空気が凍り付くのがわかった。
そして、母が一気に扉を開けてその場に泣き崩れてこう言った。
「どうして帰ってきたのよ・・・優太。」
扉の向こうに立っていたの昨日会った男の人だった。
謎に包まれたバンド『spica』のボーカルである彼が・・・。