スピカ
「そんな再会の言葉は酷いね、せっかく帰ってきたのに。」
優太はゆっくり母の身体を起こし、涙をハンカチで拭った。
「優羽には何も話してなかったみたいだけど。」
「腹違いの兄妹だなんて・・どうやって説明すればいいのよ。」
"腹違いの息子"?
思い出してきた。
たしか、昔にお母さんが電話で怒鳴ってたっけ?
「あの女の子供なのにどうして私が育てなくちゃいけないのよ?!」
父の浮気相手の女性が優太を産んで死んだ。
母は父を恨んでいた。
お金しか送ってこない、仕事ばかりで子供にかまってもくれない愛情のひとかけらもない夫。
「血も繋がってないのに、優羽と同じように生活できると思わないでッ!!!!!!!!」
硝子の割れる音と優太の泣き声。
優太は頭から血を流しながら母の足にすがりついていた。
「愛して」って泣き叫びながら・・・。