エースナンバー
「…クサイ…これ」
俺は渡されたシャツを着て、眉をしかめる。
「うるさい…文句言うなよ」
「ところで…あんた誰?」
「あぁ…
俺は上杉 優斗
先月から一応この野球部のキャプテンしてる」
上杉が体を伸ばしながら答えた。
「聞くけど…強いのか?」
「何が?」
「ここのチーム」
すると、上杉は誇らしげに腕を組んで、顔を緩ませた。
「強いぜ…守備も攻撃も…めちゃくちゃバランスとれてるし。
何より、うちのエースが大したもんだよ」
―――!!
「エース…いるのか?」
「当たり前だろ?
それにそこんじょそこらのエースとは違うぜ。
あいつは本物だ…。」
フンと鼻を鳴らし、上杉が答える。
「本物…ね」
いることは想定してた…。
もう2年だし…
一応はここも県立野球部で、それなりに有名だ…。
でも…
「――…だよな?」
「へ?」
「奪ってもいいんだよな…エースの座」