エースナンバー
「前…見ろよ
担任睨んでるぜ?」
俺がそう言っても、そいつはさほど気にすることなく…
「いいの、いいの。
真紀チャン最近彼氏に振られてから不機嫌なんだよ」
主婦のお喋りのように手を振る。
「お前が良くても俺が困る…」
転校初日に睨まれてたまるか…
俺は頬杖をついてそいつの話を無視し続けた。
□
やがて教室は、休み時間に入る。
「ねぇ、麻生くん…だっけ?
何で大阪から来たのに標準語なの?」
「おっきいね-…身長何センチ?」
転校生に興味を抱いた女たちが俺の回りに群がった。
――…面倒くせぇ
眉をしかめてそいつら全員を睨みつける。
「ねぇってば!
関西弁喋ってよ」
「無理…俺、出身東京だし…
大阪は高校からいただけだから」
「ふーん、何で東京に進学しなかったの?」
女が目を丸くして尋ねる…
その時、俺はピークだった。