エースナンバー


女の顔に自らの顔を近づける。


狙うような瞳で、女だけを見た。


「東京女を食い過ぎたから」

口元を怪しく緩めると、女の顔が真っ赤に染まる。











「…ぶっ!」


――?


気まずい沈黙を破るように、目の前の男の肩が震え始めた。



「ちょっ…何笑ってんの-!夏くん!」


女が不機嫌そうに、その男の肩を叩いた。



「あは…ごめんね…
だって…あんまりにもクサくて…」


そう言って笑う男は…

先ほどのあいつだった。




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