アキちゃんと雪だるまくんのお話
歩けないことで、家に帰れないことを思ってまた泣き出しそうになっているアキちゃんに、
「無理させてゴメンね。僕が家まで送るよ、おんぶしてってあげるから。
僕の背中おっきいんだよ、ほらね。もうじき日が暮れてどんどん寒くなってくるし、早く家に帰らなくちゃ。おいで」
と言って、ユキはいったん平たくつぶれるようにしてアキちゃんのお尻のしたに入り込み、
えいっ、と膨れあがってうまくアキちゃんを背中に乗っけました。
鼻水と涙と一緒に、声も飲み込んでしまっているアキちゃんに
「泣かないで。泣いてもまた笑って。さぁ行こう」
と励ましながら、つぶれてはふくれる反動で前に跳び、またつぶれてはふくれて、その繰り返しでユキは進んでいきました。
アキちゃんは少し元気を取り戻した様子で
「ユキの背中って、冷たいのにあったかい感じ。変なの」
と言ってクスクスと笑いました。
その小さな微笑みに雪玉はまた少し溶けていきました。
それに加えて背中にある体温と運動の熱で、ユキのからだはみるみるうちに溶けていきました。
しかし、やっぱりユキはそれを心地よいと感じていました。

「楽しい歌を唄おうか。
  雪やこんこ あられやこんこ
 降っても降っても まだ降り止まぬ 
  アキちゃんは喜び 森かけまわり
  ユキは 傍で丸くなる
 ってね」

「アハハ、なにそれ、変な歌。でもおもしろいね。
  雪やこんこ あられやこんこ
  降っても降っても まだ降り止まぬ
  アキちゃんは喜び 雪飛び込んで
  ユキはアキちゃんを おんぶする
 ってね。アハハ」

白い吐息が溶けていく夕暮れに、空色の笑い声が響き渡りました。
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