アキちゃんと雪だるまくんのお話
ユキは、アキちゃんが早くさっきみたいに元気になればいいな、と思っていました。
「けど、まだ痛いよね」
そう言いながら、丸く膨れた大きいほうの雪玉からちょこんと突き出た手と呼べないような手を、傷口にそっとあてました。
アキちゃんは一瞬、両目をキュッとつむりましたが、徐々に緩やかな表情になっていきました。

「ん、冷たくて気持ちいいよ。えっと、ユキ?だよね。ありがとう」

アキちゃんのまっすぐ見つめる瞳と、心の奥のほうに素直に入り込んでくる言葉に、ユキはあったかくなる感じがしました。
するとユキの大きい雪玉の左下の部分がちょっと溶けて水になりました。
自分の感情と少しの違和感に気づいたユキでしたが、もしかしたらという不安はどこにもなく、それをユキは心地よく感じていました。
「良かった。ちょっとでも痛みがとれればいいなって思ったんだ。でもこの足で家まで帰れるかな。歩ける?無理しないでね」
ユキが差し伸べた手を、肘をいっぱいに伸ばした小さな手が掴みました。
歯を食いしばりながら立ち上がろうとしていたアキちゃんの左足から、がくっと力が抜けたことがはっきりわかり、アキちゃんはしりもちをついてしまいました。
それでも手は離しませんでした。
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