ようこそ! 魔破街へ
走ったせいかお腹も減ってきたし、帰ろうか。

しかし…タカオミにはどう対応すればいい?

しかも同じベッドにいた相手とも、食堂で顔を合わせるかもしれない。

想像すると、頭から足まで一気に血の気が下がった。

「ううっ…! でも腹は減ったしな」

街からは良い匂いがしている。

それに流石に引っ越し初日に、顔見せしないのは寮生としてはマズイだろう。

仕方なく歩き出すと、こちらに向かってくる女の子に気付いた。

「サマナー!」

「あれ? サラ」

私服に着替えたサラが、こちらに走ってきた。

「良かった、見つかって」

息を切らせながら、サラはオレの前で立ち止まった。

「あっ、もしかして探してくれてた?」

「ええ。いきなり絶叫しながら寮を飛び出すサマナを見かけてね。何事かとイザヨイに確認してもらったら…あのバカオミ!」

サラは忌々しげにタカオミのことを、別名で言い放った。

「ビックリしたでしょう? アイツ、自分の好みだったら老若男女関わらず、部屋に引っ張り込むのよね。サマナは大丈夫だった?」
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