続・憂鬱girl

至近距離に、シャンプーの香りが揺れる。フワフワの栗色の髪が鼻もとをくすぐって、あたしと同じシャンプーの匂いだ、とかそんな平和的な事を考えてる場合でもなくて、


「なっ、なっ、何っ!!」


するんですかぁぁ!


あたしの顔、間違いなく真っ赤だ。


だって、


「動くな。抱き締めづらい」


不本意ながら一緒のベッドで眠る事はあって、それの延長線上で抱き枕のようにされる事はあっても、



「っつ…!!」


この間みたいに、不意打ちで引き寄せられる事はあっても



こうして、意識のある内に真正面から、『普通』に抱き締められるのは、初めてだから。



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