永遠の片想い
落ち着きを取り戻したマリに案内された部屋は、すごく久しぶりに来た場所で。

何も変わらない景色に、チクリと胸が痛む。


「ごめん、突然」


小さくそう言う私に首を振り、マリはオレンジジュースが入ったグラスを差し出す。


「来てくれてありがとう」


そのグラスを受け取ると、先に口を開いたのは彼女だった。


「絵里奈、ごめんね」


そう言って頭を下げるマリに、私は慌てて肩を掴む。


「ちょっと、マリ!やめてよ…頭あげて?」


そんな私の声も届かず、マリは頭を下げたまま、少しずつ話し出した。


「私、ユキ先輩の彼氏が佳祐くんだって…本当に知らなかったんだ」


そっと手を離し、マリの言葉に耳を傾ける。
< 208 / 402 >

この作品をシェア

pagetop