永遠の片想い
「行ってらっしゃい」

「行ってきます」


いつも通りの会話をし、玄関を出た。

背中越しには、いつまでも手を振る二人の姿。


どう堪えても、涙が滲んでしまう。


私は"ありがとう"と何度も何度も心で呟いた。

色んな気持ちを抱きながら、馴れ親しんだ街を後にする。


「絵里奈」


駅に着いた瞬間、改札で声をかけられた。

その声の主に、私は驚きを隠せずに目を見開く。




「ユキ…先輩」




そこには、あの頃より少し大人びた彼女が立っていた。

優しい雰囲気は、あの頃と何一つ変わらない。


「どうして…」

「地元、離れるって聞いたから」
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