-境界リセット-
一章

夢見昼顔 -01






――――――――――

―――――





じりじりと、太陽が肌を焼く。



「暑…溶ける…」



なんど暑いと繰り返しても、
暑さが軽減することはない。


解っていても「暑い」と呟かずにはいられない。



だらだらと額から頬にかけて汗が伝う。

ジーンズのポケットから携帯を取り出して時間を見れば
もう午後二時を20分ほど過ぎようとしていた。



「…こないなぁ……」



顔を上げて辺りを見渡すも、それらしき人の姿はない。





「やっぱ…来ないのかな」





汗を拭いつつ呟いて、ハンドバッグに差さったそれに目をやる。




―…一輪の、ひまわりの花。




それを目印にして、私、辻小海は人と待ち合わせをしていた。

相手はケータイのサイトで知り合った、いわゆるメル友。



ひまわりを目印にしたのは、お互いに顔を知らないから。

…私が写メの交換を嫌がったんだけど。





今日まで毎日のようにメールのやりとりはしていたけど…


顔を見るのも、
肉声で会話するのも、

今日が初めて。






だから、それなりに緊張して今日を迎えた。







――んだけど。






< 3 / 14 >

この作品をシェア

pagetop