-境界リセット-
一章
夢見昼顔 -01
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じりじりと、太陽が肌を焼く。
「暑…溶ける…」
なんど暑いと繰り返しても、
暑さが軽減することはない。
解っていても「暑い」と呟かずにはいられない。
だらだらと額から頬にかけて汗が伝う。
ジーンズのポケットから携帯を取り出して時間を見れば
もう午後二時を20分ほど過ぎようとしていた。
「…こないなぁ……」
顔を上げて辺りを見渡すも、それらしき人の姿はない。
「やっぱ…来ないのかな」
汗を拭いつつ呟いて、ハンドバッグに差さったそれに目をやる。
―…一輪の、ひまわりの花。
それを目印にして、私、辻小海は人と待ち合わせをしていた。
相手はケータイのサイトで知り合った、いわゆるメル友。
ひまわりを目印にしたのは、お互いに顔を知らないから。
…私が写メの交換を嫌がったんだけど。
今日まで毎日のようにメールのやりとりはしていたけど…
顔を見るのも、
肉声で会話するのも、
今日が初めて。
だから、それなりに緊張して今日を迎えた。
――んだけど。