この想いを君に… −あの場所へ−
「ところで桜…」

パパの声がまるで別人みたいに聞き取りにくい。

「智道とは上手くいってるの?」



ドッキーン



嫌な汗が背中を流れた。



「うん…なんとか」

とは言うものの。

先日、智道くんの両親が付き合っている事を知って。

大激怒。

洒落にならない事態になりそうなんだけど。

「…反対してるだろ?」

パパの言葉に思わず顔を上げた。

「なんで…?」

なんで、わかるの?

私は不思議そうな顔をしてパパを見つめていた。

「…それは」

パパの目にほんの少しだけ、力が宿った気がした。

「桜が俺の子供だから。
…一度隆道に釘を刺すよ」



…パパ、怖い。



きっと昔、私達が生まれる前に何かあったんだろうけど。

それ以上は聞けなかった。
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