I ─アイ─


結局、レトルトカレーを食べる事はなかった。


洗濯物もお掃除も食器洗いも、

ほめられる事も、喜んでもらう事も、気づいてもらう事も出来なかった。


たくさんの指の火傷も、

切り傷もあおたんも、ただむなしく痛むだけ。



悲しくて悲しくて
あたしは大泣きした。



どんどん溢れ出る涙。

まるで今日の雨みたいだ。









どれだけ泣いたのだろう?

しばらくして雨は止んだ。



お母さんの心も晴れたでしょうか?



病院で静かに眠る、

世界で一番親愛なるお母さんへ





聞いて下さい。


今日は雲一つない紺色の夜空で、星が綺麗に光っています。


もう二度とあなたが倒れないように、


掃除も洗濯も食器もご飯も、毎日一生懸命頑張ります。



……だから、



どうか、早く戻って来て下さい。




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