桜の雨~誓い 次世代編~
夜。

さくらはいつものように
圭吾の部屋にいた。

由来を訊くためである。

「今日、悠斗に言われたの。
自分の名前の由来を
訊いた事がある?って。
さくらって名前を、
どうやって付けたか
なんて気にしたことなかった。
だから、訊こうと思って。」

すると、父親は話し始めた。

「さくら、君の名前はね、
その名の通り、桜の花からだよ。
春に生まれたのも
関係してるけど、
それ以上に
桜の花のように
優しくて可愛い子に
なるようにつけたんだ。
それと、依夏が漢字だから、
さくらは平仮名に
しようって考えてたよ。
君の生まれた病院は、
僕が昔からお世話に
なっている病院で、
庭に何本も桜の樹があった。
僕は入院生活の中で
その桜に何度も
元気付けられたし、
さくらにもその桜のように
人を癒す存在に
なってほしかったんだ。」

さくらは由来を訊いて、
感激していた。

自分にもちゃんとした
理由があった事が嬉しかった。

それは生きる意味にも
繋がっている。
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