背中あわせのふたりは


誰にもなにも言わせない、という空気を作って友人を帰した彼女は、やはり疲れきった顔をしている。




──まるで、卒業式のときみたいだな。




「卓也も、知ってたんでしょ。
…どうしてなにも訊かないの」


訊けるはずがない、と言葉にせず、ため息をついた。


「俺が訊いたところで、何か解決するか?
解決させるのは、お前自身だよ」


俯いたままそう言いきって、彼女を見た。


卓也はまた、息を詰まらせた。


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