海が呼ぶから
細い指が支える皿を受け取り、トレイに乗せた。

湯気をたてる、うまそうな魚に思わず目と口元を緩ませてしまう。

(とりあえず、食堂にカイを入れたのは正解だったな)

カイが、初めてこの船でスープを食べた時、スープの改善点を呟いた事から、試しに料理長に会わせてみたのだ。

"料理に言葉は必要ない"。

前から公言していた料理長が、カイの料理を一口たべるなり、俺に言ったものだ。

『この料理人は、どこから盗ってきたのかね?
ああ、いやこんな野暮な質問は要らないな。
"料理に言葉は必要ない"。』

兎に角、料理長がカイを気に入った様なので、カイはそのまま食堂所属となった。
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