淡い満月
 
 
そんな顔はずるい。

そんなの…私に言っている言葉じゃないみたいじゃない。



明日になったら、私は退院する。

もう、こんな風に話すこともなくなるのに。




「ね、死にぞこない仲間♪」

「そんな仲間嫌ですよ。」



片桐さんのこと、何も分からないままだ。



あれ?


分からないままだって別に気にすることないはずなのに。



たまたま同じ病室で
たまたま隣のベッドで

たまたま同じ理由で入院していた人。




ただそれだけなのに、私はさつきから同じ考えが頭を巡っていた。




彼のこともっと知りたい。

もっと、近づきたいって…。
 
 
 
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