とんでも腐敵☆パートナー
「あんまりそのマスクで優しくすると、女の子はすぐ参っちゃいますよ~。気をつけた方がいいですよ、拝島さん」
 
「えっ……そう?」
 
「はい。多分思いっきり誤解されます」
 
 きっぱりと。
 
「そっか……栗子ちゃんはどうなの?」
 
「あたしはこういうのではときめかないので大丈夫ですけど。普通の女の子はダメですよー」
 
 笑いながら言う。
 
 その一瞬、拝島さんの顔から笑みが消えた気がした。
 
 ん?
 
 あ、失礼なこと言っちゃったかな今。
 
「あ、で、でもすごく嬉しいですよ! 欲しかったんですこのヌイグルミ! お兄ちゃん、ありがとっ♪」
 
 それは本当のことだったので、あたしはむぎゅーっとヌイグルミを抱きしめた。
 
 頬ずりすると、また柔らかくて気持ちいいよコレ。ケロ○可愛いーっ!
 
「そっか、喜んでもらえて良かったよ」
 
 拝島さんの顔に笑顔が戻ってくれた。ほんのり頬を染めていつものようにはにかむ。
 
 朽木さんはこれにやられてるワケですな……。
 
 この小悪魔さん☆
 
 それからまた二人が移動を開始したようなので、慌てて尾行を再開した。ヌイグルミをスタジャンの内ポケットにしまって。
 
 
 
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