とんでも腐敵☆パートナー

5-6. 押し倒す時はベッドにしないと背中が痛い

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 祥子と高地さんは、最初より幾分和らいだムードであちこち歩いてまわった。
 
 本屋に寄ったり、ショーウィンドウ眺めたり。
 
 やがて公園に辿り着く。
 
 ここら辺一帯で一番有名な公園だ。何が有名って、カップルのおすすめデートスポットとして有名なわけなんだけど。
 
 本によれば海沿いのこの公園、昼は散歩道としても気持ちいいし、夜は綺麗な夜景でまたムード満点だそうな。
 
 その売り文句が偽りでないことは一目見れば分かる。海岸に面した部分は波止場のような雰囲気で歩きながらも広い空と海、賑わう港町を片側に見渡せる。
 
 そしてもう片側には公園らしい緑の風景が奥まで広がってるのだ。カップルでなくとも足を運びたくなるってもんだろう。
 
 だけど、そんな心洗われる風景の中にあって、あたしは心中穏やかでない。
 
 確かにステキな公園だ。でもカップルはここを散策するだけかというとそれだけではなくて。
 
 奥に行くほど増してくる植え込みの数も伊達ではない。
 
 ガサガサと音を立て怪しく揺れる茂み。その奥からはピンクのオーラが立ち昇っている。
 
 
 そう――絶好の押し倒しスポットでもあるのだ、この公園。
 
 
 
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