とんでも腐敵☆パートナー
「拝島。今度の日曜、ドライブにでも行かないか?」
 
 ふと、欲が出て言ってみた。
 
 今度の日曜は、朽木家に帰る日の翌日だ。
 
「いいよ。車は二台?」
 
「いや、拝島のミニでいい。交代で運転しながら行こう。山の空気でも吸いに行きたいかな」
 
「いいね。山道を走るのって、わくわくするよね」
 
 なんの疑いもなく誘いに乗ってくる拝島の笑顔が眩しい。この笑顔が損なわれるのは見たくないという気持ちと、己の欲望がせめぎ合う。
 
 思わず目を逸らし、コーヒーを口に含んだ。
 
 不味い――買っておいてなんだが、市販のコーヒーは飲めたものじゃない。
 
「おっ。朽木と拝島じゃん」
 
 聞き慣れた声に名を呼ばれて顔を上げた。
 
 予想通り、ふざけた金髪が目に入る。
 
「やぁ高地」
 
 拝島が明るい声で応答するので、俺も軽く手を上げて挨拶し返した。
 
 高地はさっきまでの泣きっ面はどこへやら、元気よく「お疲れさんー」と言いながら近寄ってくる。
 
 こいつも白衣姿だ。だがどことなくだらしない。ボタンの閉め方が適当すぎるし、袖を捲り上げている。
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