とんでも腐敵☆パートナー
 なんだろう。なんか、もやもやしてきた。
 
 章くんにも、朽木さんにも。
 
「章くん、朽木さんをボコにしてもいいくらいのコトされたんだよ? このまま引き下がっていいの? 一発殴ってしかるべきじゃないの?」
 
 自分でもよく分からないけど、物騒なセリフが飛び出してきた。
 
 
 ああ、なんだコレ。無性にイライラする。
 
 
 分かってない。二人共、お互いの気持ちを伝え合ってない。そんな言葉が頭に響いた。
 
「僕が、先輩を? そんなっ。先輩はちっとも悪くないのに。僕が勝手に先輩を――」
 
「なぁ~~に言ってんの! ベッドインは連帯責任だよっ!!」
 
 思いのほか大きな声が出た。ぎょっとなった章くんが周囲を見回す。
 
「そ、そんな大きな声で」
 
「しゃらぁ~っぷ! 行くよっ、章くん!」
 
「え?」
 
 再び章くんの顔がこちらに向けられる。その時にはもうあたしは席を立ち上がっていた。
 
「行くって、どこに?」
 
 当惑した顔でつられて腰を浮かす章くん。でも腰は半ばで止まり、躊躇の気配が伝わってくる。
 
 ああ~~もう。どこまで自分を押し殺してんのこのヒト。
 
 章くんが良くてもあたしは気が済まない。
 
 章くんが納得してないから気が済まない。
 
 あたしは章くんの腕をぎゅっと掴んだ。
 
 強引? それはあたしの専売特許!
 
 
「朽木さんに、一発かましに行くよっ!!」
 
 
 
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